Ft.ヒロ先生 コラム

直観力

みなさん、こんにちは！　占い師のFt.ヒロです。
月日の経つのは早いもので、私が千里眼に入店して、この令和六年で十年になります。プロの占い師になった時から数えると、もう二十五年以上にもなります。その間、いろいろな人との出会いがあり、数多くのご縁を結ぶことができました。本当にありがとうございます。
さて、お客さんからこんなことをよく尋ねられます。
「先生、よく当たりますね。なぜ、そんなことが分かるんですか？」
「まあ、プロとして長年やっていますから！」と言って、私はただニッコリするだけです。
自分の占い芸を褒めていただいて嬉しい思いがする反面、不思議そうな顔をしているお客さんを見れば、本当に面白くてたまりません。私とすれば、口を衝いて自然に言葉が出てきますから、それをただ言っているだけなんですからね。
では、なぜ占いは当たるのでしょうか。私なりの考え方を述べたいと思います。
それは、おもに直観力にあります。占いが当たるのは、占い師の鍛えられた直観力で当たるわけです。
易、タロット、手相人相、四柱推命や占星術など、西洋東洋を問わず、占いには多数の占術があります。しかし、どの占術も当たりはしますが、完璧に当たるというものではありません。運命学はすべて不完全な学問です。
その不完全さを補うのが直観力。不完全な占術をどのように料理するのか。直観力を駆使して、いかに当たる占いに変えていくのかが、占い師の腕の見せ所というものです。
では、直観力はどうすれば鋭くなるのでしょうか。
まず一つには人生相談を数多く経験すること。そして、一つには易を勉強することです。
易には、占いともう一つ思想哲学の側面があります。易経は中国の古典哲学の論語や老子などに並ぶ書物で、東洋的な直観思考という考え方のものです。つまり直観的に物を見、物を考えるというものです。だから、易を学ぶということは、直観人間、ヒラメキ人間になるということです。
易は難しい占いで、習得するまでには時間がかかります。昔から「手相見三年、易十年」と言われ、手相は三年位で当たるようになるが、易は十年位かかるということです。直観力が身に付くのは時間がかかるわけです。
私も経験のあまりない占い師の駆け出しのころは、占いがあまり当たらなくて大変苦労しました。いろいろ失敗が多くあってお客さんから当たらないと、よく苦情を受けたものでした。
でも、失敗を重ねるうちに、いろいろなことが分かってくるのも事実です。一年、二年と時を重ねるうちに、だんだん占いの勘どころというものが掴めるようになってきて、占い師らしくなっていったのです。
というのも、相談事を数多く聞けば、人間の悩みにはそれなりの共通点があることが分かってきます。何年もすれば、どんな相談で来たのかということもだいたい見当がついてきます。そして、悩んでいるお客さんの心の奥底までよくわかるようになるのです。
どんな仕事でもそうでしょうが、ひとつの仕事に専念すれば、その仕事固有の直観力というものが身ついてきます。
占い師の場合、数多くの打ち明け話や嘆き、告白などを聞き入れることになりますから、自然に鋭敏な直観力や洞察力が身についてくるのです。
占い師にとって直観力というのは何よりも大事なもので、これが鋭くないとお客さんの信用を取り付けることはできません。
また、単に直観力といえば、未来を見通すことや運命を判断する力を想像しがちですが、確かに占い師にはこの予言的直観力も必要ではありますが、多分に限界があるところです。
それよりももっと大切な直観力があります。それが、人の心の奥深くまで見抜く洞察的直観力というものです。本当のところは、この洞察力のほうが占い師にとっては身につけていなくてはならない大切なものです。
相談者がどんな人間でも、旧知の間柄のように性格や体質、長所や短所などを言い当てることが出来る直観力、その人の隠された才能を発見したり、悩みの本質をついたりと、その人の気がつかないことを見つける直観力、ということが占い師にとっては一番大事なところです。つまり、初対面でも、その人をどれほど深く理解できるかという洞察力を持っているのかが大事なことなのです。
人間にとって大きな喜びのひとつに、自分の気持ちをありのままにわかってくれる人、共感してくれる人との出会いであると言えるでしょう。占い師は、その理解も共感も、ともに兼ねそろえた人物です。ここに一般の人の占いへの魅力のひとつがあるといえるでしょう。
今日は、占いがなぜ当たるのか、ということをほんの少しだけ書きました。また、詳しいことが知りたい方は、私のところまでお越しください。お待ちしております。

投稿日：2024/02/02

一番当たる占いは易だ

皆さん、こんにちは、Ft.ヒロです。（Ftとは、Fortune-tellerの略）
わたしは易を得意とする占い師です。いつもこの易を中心にして、手相や人相、そして九星気学を併せて占いをしています。今日はこの易についてお話をしたいと思います。
さて、皆さんは易について、どれほどご存知でしょうか。最近の若い人は、易のことをあまり知らない人が多いように思います。
易占いは、普通ふたつの道具を使って行います。筮竹（ぜいちく）と算木（さんぎ）です。筮竹は、竹でできた４０センチぐらいの細長い棒のこと。算木は、長さ１０センチほどの積み木のような直方体の木の棒のことで、中心に赤のラインが入っています。
ある日、若い女の子がやって来て、「先生、これ何ですか？」と、まるで初めて見たかのように、筮竹や算木を指差してそう言うのです。
「これは易を立てるときに使う道具、この筮竹を使って卦を出します。今度は、出た卦をこの算木に表わし、それをじっと見つめてインスピレーションを感じ取るのです」と言えば、不思議そうにそれらを眺めていました。
今はどこの占いの館へ行っても、タロットのようなカード占いが一般的になってきて、易をする占い師の数が非常に少なくなっています。だから若い人にとっては易が珍しいものに映っていたのかもしれません。昭和の頃は、占いといえば易をする人ばかりでしたから、易も随分少数派になったものだと思います。
なぜ、易を使う占い師が少なくなったのでしょうか。その理由のひとつには、易は大変難しい占術ということが挙げられるでしょう。習得するまでにはいくつかの壁があり、本当によく当たる占いができるようになるには長い年月を要するからです。
昔から言われることに、「手相三年、易十年」というのがあります。占いの難しさを年数で表したものです。
手相は簡単な占いで、しかもよく当たります。三年もやっていれば、一人前の手相見に
なれるということですが、易はそう簡単にはいきません。
よく当てられるようになるには、やはり十年。そして、奥儀を極めたような熟練の易者になれるには、三十年以上の経験が必要と言われています。
易を学ぶには、昔は師匠から弟子に伝える一子相伝が普通でしたが、今では教室に通って易に精通した経験豊富な占い師の先生から手ほどきを受けるのが一般的です。何年も教室に通わなければなりませんが、やはり師事する人を持って研鑽を積んでいかないと、易はなかなか上達していきません。
易を使うプロの占い師の多くは、自分の師匠も持っていますが、中には師匠を持たず、独学で技術を習得した人も、いるにはいますが、しかしこれは大変なことで、易の難しさに中途挫折をする人が多いように思います。
また、易を教える書物もそれほど多くはありません。専門店に行かないと置いていない本ばかりで、しかも多くは古本です。内容は現代文ではなく古い文体で書かれていたりしますから、非常に読みにくくなっています。
そして、最も難しいのが易経の原文です。占いの解説書といった感覚ではなくて、訳の分からない喩え話がただ並んでいるだけで、これをどのように解釈するかが難解至極、いつも頭を悩まされることです。
けれでも、この難しさに長年悪戦苦闘することで、自然に鋭い直観力が身についてくるのも事実です。練達者になれば、いちいち易を立てなくとも、何でも直観的にすぐさま判断できるようになるのです。
易教を勉強すれば、論理的ではなくて、直観的に物事を考えるようになります。そして、これを繰り返し行えば、直観的な感覚が鍛えられて、何でもすぐさま直観的に判断できるようになるのです。結局のところ、易を勉強するということは、直観力を鍛えることにほかないのです。

さて、人気のタロット占いですが、易とタロットはどのように違うのでしょうか。
易は、偶然に現れた事象や、偶然に得られた数字などから、占いたい事柄の吉凶や消長を占うものです。
「偶然は、神の意志」という考え方があることから、偶然から神のメッセージを読み取る占いだと言えます。もっとも、東洋では、神のことを「天」と呼びますから「偶然は、天の意」という言い方の方が正しいのかもしれません。
東洋の易に対して、西洋のタロットもまた偶然に選ばれたカードから意味を読んでいく占いで、易と同じく卜占（ぼくせん）に分類される占いです。
タロットは、カラフルな絵が描かれたカードを使います。古代エジプトのくじ引きが起源ともいわれ、十四、五世紀ころにヨーロッパに渡って、ジプシー占いとして広まっていきます。
中世を思わせる絵柄、抑圧された人間の心を表現したイラスト、それにシュールレアリズムや宗教画など、どこか魔術的な神秘的な雰囲気があり、時には恐怖心さえも与えるような占いです。
タロットはカードの絵を見てもわかるように、キリスト教の影響を強く受けています。つまり西洋思想の考え方が表れているのです。
そして、その根本思想は絶対的な神の存在があって、神がすべて正しいとした上で、その反対は誤りであるという論理で出来上がっています。いわゆる決定的な対立二元論の考え方です。
神と悪魔の二者が、対峙し排斥し合い、闘争を続けている。男と女、陽と陰、生者と死者、太陽と月、富者と貧者、支配者と従者などが互いに対立して、宿命的、断定的、回避不可能の決定論で展開しているのが西洋思想。タロット占いもこの思想に多分に影響されて、占いの答えは、絶対的な神のお告げであるとして、くっきりと明暗が分かれることになるのです。
これに比べて、東洋思想は、二つのものが対立するのではなく、むしろ相異する二つの性質が共存することこそが、世の中の本質であると考え、西洋の論理的なものよりも、感覚的なものや全体としての調和といったことを重視する傾向があります。
陰が陽に転じたり、陽が陰に変じたりする流動性、変化性、循環性が東洋思想の特徴で、易にもこのことが色濃く投影されています。
「月満つれば則ち欠く」月は満ちると欠け始めるように、物事も盛んになればやがて衰えていくのが天地不変の定めと東洋思想は言います。西洋思想のように善と悪が対立するのではなくて、善が悪になったり、また悪が善になったり、物事は常に変化するのだと考えるのです。
易の特徴もまた変化を読み取るということです。単に吉凶の判断だけでなく、時間の経過とともにどのように変化していくのかも分かる占いなのです。
だから、易は宿命論に支配されることはなく、人生は常に変化していくとしています。このことから、人生にはさまざまな道がある、運命は自分から主体的に開拓できるもの、努力を重ねれば成功すると説き、処世の道を教えるものになっているのです。
易は、発祥のころは単に占いでしたが、孔子によって哲学化されて、占いと思想哲学という二つの顔を持っているのが他の占いと違うところ。そして、思想哲学の面だけを見れば、「易教は儒教的な人生哲学の書」と言われ、古くは帝王学として、帝王や君主のような支配者が読むものとして珍重されてきました。
最後に、易占いにとって特筆すべきところがあります。それは、占う許容範囲が他の占いに比べて格段に違うということです。
タロットは意味解釈がかなり限定されますが、易の卦は柔軟で飛躍するような読みこなしが可能です。出た卦を臨機応変に捉えて、自分の知識や体験を自由裁量の中で、卦の読解に反映させることができるのです。つまり、何でも占うことができるのが易の強みということです。
たとえば、無くなったものを見つけ出す失せ物占いなどにもよく使いますし、病占といって病気が治るかを見る占いもあります。また、遊魂卦や帰魂卦といった人間の寿命に関する卦もあります。
まだまだ、易について話したいことがたくさんありますが、次の機会にしたいと思います。今回の話は少し難しくなったかもしれませんが、易の優秀性を多くの人に伝えたいというのが、わたしのひそかな願いです。
易が好きな人、また易に興味がある人は、是非わたしのところにお越しください。お待ちしております。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上

投稿日：2019/03/30

死にたいって、何があったの？

みなさんこんにちは、千里眼のFt.ヒロです。（Ftとは、Fortune-tellerの略）

さて、長年占いをしているといろいろなお客さんと出会うことになります。

何年か前のこと、目のまわりの化粧が黒くにじんで、パンダのようになった女の子が、わたしのところにやってきました。突拍子もないことを言うのだろうなと警戒した矢先、いきなりやってくれたのです。

「あ～、わたしもう、死にたーい！」と、爆弾を落とすような言葉から始まりました。

「えっ、死にたいって！どうしたの、いったい何があったの」と、驚いたわたしは身を乗り出して、その様子を窺います。何がそんなに死にたいのか、わたしにはさっぱり分からなかったのです。

すると、女の子は下を向いて、ポツリとこう言いました。

「携帯、トイレのなかに落としたの‥‥」

「えっ、‥‥‥？」

携帯がトイレの水に浸かってダメになってしまった。そのことが、死ぬほど辛いことなのか。わたしにはどうも理解できませんでした。

その後も心配になっていろいろ尋ねてみるのですが、ただ泣きじゃくるだけで何が言いたいのかよくわかりません。

「あのね。占いに来るよりも、携帯ショップへ行けば？わたしは占い師だから、携帯のこと、そんなに詳しくないし。ショップの人に相談すれば、ひょっとすると直るかもしれないし、ね！」

「違うの、違うんだから、いいの！」と言って、また泣き続けます。やれやれと、声にならないタメ息が出てきます。

しばらくすると泣き疲れたのか、少しずつしゃべるようになりました。

聞けば、この携帯はいつも肌身離さず持っていたといいます。そして、これがなければ生きていけないと、それこそ恋人以上の愛し方です。その大切な携帯が汚いトイレの水に浸かってしまった。このことがとても残念でならないようです。

うっかり手が滑ってポチャリ。その時はもう頭の中が真っ白になって、たまたま近くにあった占いの店に飛び込んで、無性に何か叫びたい気分になったというのです。まったく人騒がせな女の子ですが、しかし、たまにこういうこともあるのが占いなのです。

なぜなら、あなたのことを丸ごと受け入れる姿勢が占いにはあるからです。どんな辛いことがあっても、占い師はわたしのことをちゃんと分かってくれる。そんな安心感があるからこそ、人は占いに引きつけられるのです。

心のオアシスを求めてやってきた女の子。言葉を交わすうちに、その表情が変わっていきます。そして可愛い笑顔が戻ってきたら、そこで占いは終わりです。

メイクがグジャグジャになるまで泣き明かしたのですから、さぞかしスッキリしたことでしょう。来た時とはガラッと変わって、ニコニコ顔で帰って行きました。

占いとは、人と人とがとことん向き合って心を通い合わせる世界です。それだけに人間の意外な一面を数多く見ることになります。

占いの相談内容はどんなことでも構いません。今の自分を分かってほしい、今の自分の気分を変えてほしい、こんなことでもいいのです。占い師は、鋭い直観力と洞察力を傾けてあなたの心を癒し、実践的な生き方を明らかにしていきます。

次はあなたの番かもしれません。心を開いて人生を話してみませんか。

千里眼　Ft.ヒロ

投稿日：2016/05/01